「初詣」はいつどこへ行く?

今は各地の有名社寺にお詣りする人も多いですが、本来は自分たちの住んでいる地域の氏神様、または、その年の年神様のいる方向「恵方」に当たる寺社に詣でるとよいとされています。
※「年神様」とは元旦に、家々に新年の幸せをもたらすために、高い山から降りてくる神様が「年神様」。「正月様」「歳徳神(としとくじん)」とも呼ばれています。昔の人は祖先の霊が田の神や山の神になり、正月には年神となって、子孫の繁栄を見守ってくれるのだと考えていました。そこで、たくさんの幸せを授かるために、年神様をお迎えしてお祝いする様々な風習や行事が生まれました。

「お屠蘇」は 邪気をはらう薬酒

「お屠蘇」は中国から伝わった漢方薬を酒に浸して作った薬酒の一種。「屠蘇」という字には「邪気を屠(ほふ)り魂を蘇らせる」という意味があり、1年の健康を願って飲みます。飲む時は若い人の生気を年長者に渡すという意味で、若い人から順にまわし飲みます。

「お年玉」は 本来はお餅だった

「お年玉」は、年神様に供えた餅を下ろし、子どもや目下の者に分け与えたのが始まりです。年神様に供えた餅には年神様の御魂(みたま)が宿っており、これをいただくことで1年分の力を授かるとされていたのです。地域によっては、年神に扮した村人が元旦に各家を回って、子どもたちに「年玉」と呼ばれる丸餅を配って歩く行事が今も残っています。

「雑煮」で年神様のご利益を いただく

年神様に供えた餅のご利益を頂戴するために作った料理が「雑煮」です。元旦に初めて汲む「若水」で煮るのが本来の習わしです。

「おせち料理」は年神様への お供え

「おせち料理」は、もともとは季節の変わり目の節句(節供)に神様にお供えした料理でしたが、正月が一番重要な節句であることから、やがて「おせち料理」といえば正月料理をさすようになりました。おせち料理は年神様へのお供え料理であり、また家族の幸せを願う縁起ものの料理でもあります。五穀豊穣、子孫繁栄、家族の安全と健康などの祈りを込めて山海の幸を盛り込みます。

祝い箸の正しい使い方は?

おせち料理は、厄を払うといわれる柳でできた「祝箸」でいただきます。両方の先端が細くなっているのは、一方を年神様、もう一方を人が使い、年神様と食事を共にするという意味があります。米俵のように中ほどが太めなので五穀豊穣、また「はらみ箸」と呼んで子孫繁栄も表します。 祝箸は使ったら自分で清めて(洗って)、松の内(1月7日まで)は同じ箸を使います。

お正月の準備

「煤払い」で正月準備開始 「煤(すす)払い」は正月に年神様を迎えるために、1年の汚れを落とす行事です。江戸城で12月13日に行われていたことからこの日を「正月事始め」として、正月の準備にとりかかる日とされています。

「門松」は年神様の 降りる目印

「門松」は、新年に年神様が¬降りてくるときの目印です。常緑の松は神が宿る木と考えられ、後に竹が長寿を招く縁起ものとして添えられました。門松を29日に立てるのを「苦立て」、31日に立てるのを「一夜飾り」といって敬遠されますので、28日頃に立てるのがよいとされます。

「しめ飾り」は 清浄・神聖の印

「しめ飾り」は、家の中が年神様を迎えるために清められた場所であることを示します。しめ飾りには、ウラジロ(不老長寿)やユズリハ(子孫繁栄)、ダイダイ(家運隆盛)など、縁起のよい植物があしらわれています。