スペシャル座談会
【テーマ】諫早市の介護予防や地域包括ケアシステムについて
【座談会メンバー】
■リハビリテーションあいのわ・代表取締役 坂枝 真一さん
■諫早市地域包括ケア推進課・保健師の多久島 亜耶さん
■劇団きんしゃい・座長 小川 供孝さん
■進行係:エフエム諫早・河野 律子さん
会場:リハビリテーションあいのわ
※エフエム諫早さんの番組「チャレンジボックス」の介護予防に関する座談会の収録があると聞いて取材に行ってきました。きっかけは今年6月から、諫早市地域包括ケア推進課のご協力のもと、地域包括ケアシステムをテーマとした劇団きんしゃい企画制作のラジオドラマ「よらんねかたらんね」をリハビリテーションあいのわ様の提供で放送を始めたことから。
元になっている原稿が広報いさはやに掲載されていた高齢介護課の認知症4コマ漫画の記事とのこと。その記事は令和3年6月から令和4年4月まで連載していたものだそうです。
皆さん、地域包括ケアって知っていますか?
「医療や介護が必要な状態になっても、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療・介護・介護予防・生活支援が包括的に確保される」という考え方とのこと。高齢化社会の中、わかっていそうで知らない、やり方が・・・など今後皆さんが直面するかもしれない大切なお話が聞けそう。ラジオドラマを制作するに至った経緯から方言を取り入れたこと、市民の皆さんにお伝えしたいことなど今回関係する皆さんに座談会形式でお話をしていただきました。
○まずは自己紹介から
(坂枝さん)リハビリテーションあいのわで理学療法士で代表取締役をしております坂枝です。介護事業所の中でも自宅にお住まいの方たちだけを対象にした在宅サービスに特化しています。地域でお住まいの方のお困りごとに対応するのが主な仕事です。宜しくお願い致します。
(多久島さん)諫早市地域包括ケア推進課・保健師をしております多久島と申します。4月から新しく地域包括ケア推進課になりました。住み慣れた地域で高齢者の方ができるだけ住み続けられるようにといった部分に特化した課になります。宜しくお願い致します。
(小川さん)劇団きんしゃい座長の小川と言います。劇団きんしゃい企画制作のラジオドラマ「よらんねかたらんね」の話を聞いて、ずっとやりたいと思っていたところ、あいのわさんのご協力もあり、実現できました。今日はお世話になります。
○ラジオドラマの制作から(方言について)介護予防について
(小川さん)方言を使うことで「すーっ」と内容が入っていくんですよ。柔らかく強くとか間を入れた方がいいとかなど細やかにやることを心がけました。録音するときは、まずイメージして入ります。声だけの演技なんで、気持ちの持って行き方が難しいんですがコレが楽しいんですよ(笑)
(河野さん)劇団きんしゃいで作るからには、この方言を絶対活かしたいというのがありましたね。声にのせてみるとあがん言わんねとかこげん言わんねとか出てくるんですよね。みんなで変えていきながら作り上げました。介護予防について知ってもらえるきっかけになればと思います。どうしても後回しになってしまいがちですが行きやすい・相談しやすい環境づくりのきっかけになってくれるといいですよね。
(坂枝さん)意外と方言ってしゃべりませんもんね。認知症や介護予防のイメージができるだけでも全然違うんじゃないかと思います。介護保険はスタートしてから22年経ちますが介護保険のこと介護サービスのことを理解してもらえているかというと意外とそうではないんです。必要になった時に初めて知るケースが圧倒的に多いですね。予防が大事です。まだまだ世話になられんっていうことで取り組むことが遅れてしまって重症化・重度化が進んでしまうところもあります。年をとっていくといろんなことが起こるんだなということが頭の中にあるとそうならないようにどうしたらいいのかに繋がっていけばいいなと思います。
(多久島さん)一緒にシナリオの修正を考えるときに私はほぼ標準語なんですよね。やもんね~と書くぐらいで。でもそれをセリフとしてお話ししてくださったらすごい優しい口調での諫早弁になっていて、認知症の方に接する時の対応として何度も優しく本人さんをビックリさせないようにとお願いしていました。これからは、地域のつながりとか世代を超えたつながりとか将来を見据えて行動しないといけません。高齢化が進むと介護保険もみんなに平等に行き渡るものでもないので予防や地域のつながりの部分が大事になってきます。それが地域包括ケアシステムと言われるのかなーと。介護保険って聞いたことあるよというのと一緒のように「語らん場」を聞いたことあるよとか、そんな風に思っていただけると嬉しいなと思います。
○取材時には10回目の放送を終えているラジオドラマ(全24話)を通してその後どうでしたか?反響なども含めて
(坂枝さん)地域包括ケアって専門職として携わる私たちはよく聞く言葉です。これから高齢者の方たちが増えていくし地域でまとまって皆様が安心して暮らせる形を作っていかないといけないということはわかっているんですが市民の皆さんに浸透・理解していただいているわけではないので、それを演劇風にお伝えするというのはすごくいい機会になったと思います。
(小川さん)これからの高齢化社会をどうしていくのか?というスタート地点に立ったと思います。舞台ではなく耳で聴くためのお芝居でしたが、ベテランの人・はじめての人も入れて作り上げたので、いいアクセントがついて面白い作品に仕上がったと思いますよ。うちの妻も大変勉強になったとほめてもらいましたよ。
(河野さん)私も知らなかったことがたくさんありましたし、昨年、広報いさはやで紹介されていた認知症4コマ漫画でそれがすごくわかりやすかったんですよ。このラジオドラマについては、楽しく取り組んでいることが大きいですね。地域包括ケア推進課さんからのサポートをいただきながらシナリオを作ることができて、あいのわさんのご提供をいただけたからラジオでオンエアできて、本当に奇跡のような作品になりました。
(多久島さん)知ってもらうという事が大前提ではあるんですが、日常的に認知症や介護予防に触れていただくために4コマ漫画にしたんですよ。4コマ漫画連載中もわかりやすかったですとか読むのが楽しみですとかほのぼのした気持ちになりましたなどいったお声を頂いていました。それがまさかラジオドラマになるなんてと思っていなくて。諫早の情景も浮かぶようにいしっかり作ってくださってとても良い作品になっているなと思います。
○舞台ではなく耳で聴くお芝居でもあるラジオドラマ。苦労した点、難しかった点等あれば教えてください
(小川さん)やっぱり活舌ですよ。方言なんだけど活舌が上手くいったかなというのはありましたね。表情が見えないじゃないですか。方言がわかる人はいいけれど、若い人なんかわからない人もいたと思います。そのなかでも活舌が一番苦労した点ですかね。
(河野さん)収録中よく身体も動いてましたよね。マイクはここよと言わないと入り込んじゃって(笑)ラジオドラマではなくお芝居になってましたよ。でもその雰囲気が、リスナーさんに少しでも伝わっていたという事を聞けてよかったですね。
○地域包括ケアシステムを簡単に説明すると
(多久島さん)いつも諫早市が皆さんに向けてお伝えしているのは、高齢者の皆さんが住み慣れた地域で自分らしく暮らしを人生の最後まで送れるようにということを応援する体制づくりのことです。諫早市地域包括ケア推進課では医療と介護が連携していただくことや認知症の対策、介護予防と生活支援のことなどを大きな柱として取り組んでいるところです。
(河野さん)私たちはラジオドラマのシナリオを通じて大分理解が深まってきていると実感します。現場にいらっしゃる皆さんよりも遅れているかもしれませんけど(笑)。介護についての言葉や、いろんな相談場所があるんだとかですね。
(坂枝さん)メディアを通じて知っていただくことがすごく大事だなと思いますね。
(小川さん)非常にこの企画、よかったと思いますよ。
○このラジオドラマを通して、市民の皆さんにお伝えしたいこと。
(多久島さん)地域包括ケアシステムのことについてお話ができてよかったです。認知症って怖い病気じゃないんだよ、誰もがなる可能性がある病気で、対応までは載せてなくて一症状を認知症4コマ漫画でもラジオドラマでも出しています。まずは知っていただくことが大事ですのでこういった機会を設けていただきよかったと思います。私たちの課、地域包括ケア推進課のことを知っていただける機会になってくれたらと思います。高齢者支え合いネットというものを諫早市のHP上に載せております。その中に具体的なものを載せておりますのでHPをチェックしてみてください。
(坂枝さん)メディアを通して地域の方々へ地域のことや介護のこと、介護を予防することなどをなんとなく感じとっていただきたいです。中々知られていないことも多いのが現状です。介護予防に携われていることを光栄に思います。
(小川さん)今回ラジオドラマとして企画制作させていただきました。今まさに高齢化社会ですので自分にも今後かかわることだという事を認識していただきたいです。
(河野さん)いろんな立場から皆さんの話を聞くことができました。来年の5月まではラジオドラマ放送されます。楽しみながら介護の予防のことや地域包括ケアシステムのことを頭の隅でいいので覚えていてもらうと嬉しいですね。今必要な方に気づいてもらうきっかけになったらと思います。
聴き逃した方は今後「リハビリテーションあいのわ」さんのHPで聴けるようになるそうですよ♬
認知症4コマ漫画のバックナンバーは諫早市のHPの「広報いさはや」から閲覧可能です。
介護予防・地域包括ケアシステムについて触れていただく知っていただくとてもよい機会になったのではないでしょうか。この取り組みが諫早モデルになり市外県外に派生していくとよりいいですね。そういう可能性を秘めた素晴らしい取り組みだと感じました。
諫早弁を通じてのラジオドラマ。ラジオドラマの第2,3弾と続けてほしいですね。今回のシリーズでは日常的に触れてもらうことが目的だったそうなので、今後の展開として具体的な介護についての発信を引き続き期待したい。